研究課題/領域番号 |
26800153
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
上利 恵三 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (30391741)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 大強度ビームライン / ビームライン制御 / 電磁石電源 |
研究実績の概要 |
研究目的は安定・安全な動作をするProgrammable Logic Controller(PLC)を用い加速器施設の常伝導電磁石用直流電源を使用し、ビームラインでのビーム軌道を自動制御するシステムの開発である。 近年、J-PARC、LHC、ILCに代表される大強度ビームラインで電磁石は大電力で運転・制御され、電源の故障や設定値の誤入力により、ビームが短時間に取り出されたり、あらぬ方向に偏向されたりすると加速器機器や施設が多大に放射化や発熱するため、電源制御システムは非常に重要になっている。本研究は加速器施設や大型実験機器で分散制御システムを開発・実装するのによく使用されるExperimental Physics and Industrial Control System(EPICS)によりビームプロファイルをPLCに取り込み、ビーム軌道を計算し、電流・電圧の設定値を電磁石用電源へ自動的にフィードバックすることによりビーム軌道自動制御システムの構築を最終目標とする。もしこの研究が成功するのであれば、世界中の大強度加速器ビームラインは安全で安定した電源制御システムを構築できる。 これまで電磁石用電源を現場で制御できるPLCのプログラムを作成し、実機の電源で通電、電流・電圧制御、転極操作できることを確認した。その際電源の安定度を測定し、ビームラインで使用できることも確認した。 次にPLCにビームプロファイル(ビームの中心位置、幅など)の情報を取り込むEPICSプログラムを開発した。またその取り込まれたビームプロファイルや電源の電流・電圧値から、ビーム軌道を自動的に計算するプログラムもあわせて開発した。次年度には開発されたこれらのプログラムを加速器運転中に使用し、ドライランを行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電源のコントロールシステムは完成したが、ビーム軌道計算システムは実際のビームを使用することを考えており、安全で安定なシステムが必要なので、このシステムの構築が遅れたため。 またこれらのシステムはJ-PARCでの加速器運転中にドライランを予定していたが、軌道計算システム完了後に加速器運転が予定されておらずドライランができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
軌道計算システムは構築されているので、加速器運転中に運転に支障が無いドライランを行うことにより、このシステムのアップデートを行い、完成させる。また得られた成果や考察を国際的な研究会で報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
加速器機器の状態や軌道計算の状況をEPICSによりディスプレイ表示させるパーソナルコンピュータを購入していないため。また研究成果がまだ確定していないので、国際的な研究会への参加、発表を行っていないため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に加速器運転中での軌道計算システムのドライランや解析に使用するパーソナルコンピュータを購入する予定である。またそのドライラン中に得られた結果・考察を実験制御に関する国際的な研究会で報告する予定である。
|