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2015 年度 実施状況報告書

硬X線およびガンマ線を用いた星形成領域における宇宙線加速と伝播の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26800160
研究機関国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

林 克洋  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40713863)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードガスの柱密度 / ガンマ線 / 宇宙線密度
研究実績の概要

本年度は、「ひとみ」衛星の打ち上げに向けて、筑波および種子島で行われた最終的な衛星試験に参加し、軟ガンマ線検出器(SGD)の動作検証および性能評価を、チームの中心メンバーとして行った。一方で打ち上げ後の観測に向けてのキャリブレーションデータの構築や、偏光測定のためのSpring-8でのビーム試験にも参加し、検出器とデータプロセッシングシステムの開発に大きく貢献した。衛星打ち上げ後は、3月半ばから内之浦にてSGDの立ち上げを行い、良質なデータが問題なく取得できることを確認した。
一方で、Fermi衛星のガンマ線データを用いた、分子雲などの星形成領域の宇宙線・星間ガスの研究も並行して進めた。名古屋大学の電波天文グループと緊密な連携を組み、最新の電波および赤外線の観測データとガンマ線データとの比較から、ガスの柱密度を正しくモデル化し、太陽系近傍分子雲領域における正確な宇宙線密度とスペクトルの測定に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3月末の衛星トラブル以降、「ひとみ」衛星からのデータは取得できていない。またそれまでに私がターゲットとするような天体の観測は行っておらず、当初目標としていた星形成領域からの核ガンマ線の検出や、硬X線帯域も含めたマルチバンド帯域の研究は困難となった。
その一方で、Fermi衛星のデータを用いたGeVガンマ線帯域の分子雲領域の解析は、飛躍的に進んだ。ガンマ線観測から宇宙線密度を測定するためには、正確なガスの柱密度を知る必要がある。名古屋大学の電波天文グループと連携をとり、少なくともカメレオン座分子雲領域については、Planck衛星のダストの測定量に対して、その(1/1.4)乗に比例するモデルが、最も的確にガンマ線分布を再現することを見出した。

今後の研究の推進方策

カメレオン座領域に対して、ダストの光学的深さの(1/1.4)乗に比例するモデルが、最もガンマ線分布を再現することについて、現在論文執筆中である。一方で他の分子雲領域についても解析を始め、(1/1.2)-(1/1.4)乗が最もガンマ線分布を再現できそうなことが分かってきた。ガスの柱密度を求めることは、天文学において最も基礎的で最も困難な課題であるが、今後は、ガンマ線とのダストの比較によって得られるこのモデルが、最も的確なガスのトレーサーとなりうるか、可能性を探っていく。また、その結果得られる宇宙線密度やスペクトルの分子雲領域による違い、あるいは一つの分子雲内におけるバリーエションや、それとガスの状態や磁場の分布などとの関連性を探っていく。一方で次世代大型チェレンコフ望遠鏡(CTA)のワーキンググループに参加し、TeV帯域ガンマ線の観測結果もベースとした、分子雲や星形成領域における、宇宙線ならびに星間物質の研究を継続していく。

次年度使用額が生じた理由

今年度は軟ガンマ線検出器の動作検証も含めたASTRO-H衛星全体の試験や運用に参加することが多く、日程的に学会などの参加が制限されたため。

次年度使用額の使用計画

2016年4月から名古屋大学に異動し、これからはデータ解析を中心としたサイエンス中心の研究活動となる。迅速にデータ解析を行っていくためのハードウェアや、国内学会参加費用に利用することを考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The First Demonstration of the Concept "Narrow-FOV Si/CdTe Semiconductor Compton Camera"2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Ichinohe, Y. Uchida, S. Watanabe, I. Edahiro, K. Hayashi, T. Kawano, M. Ohno, M. Ohta, S. Takeda, Y. Fukazawa, M. Katsuragawa, K. Nakazawa, H. Odaka, H. Tajima, H. Takahashi, T. Takahashi, and T. Yuasa
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A

      巻: 806 ページ: 5-13

    • DOI

      10.1016/j.nima.2015.09.081

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Galactic GeV Gamma-ray Sources Observed by Fermi2016

    • 著者名/発表者名
      K. Hayashi on behalf of the Fermi-LAT collaboration
    • 学会等名
      特別推進研究研究会:宇宙線研究所共同利用研究会「高エネルギーガンマ線でみる極限宇宙2015」
    • 発表場所
      東京大学柏キャンパス
    • 年月日
      2016-01-14 – 2016-01-15
    • 招待講演
  • [学会発表] ASTRO-H衛星搭載軟ガンマ線検出器の衛星総合試験における試験結果2015

    • 著者名/発表者名
      K. Hayashi and the ASTRO-H SGD team
    • 学会等名
      日本物理学会 秋季年会
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2015-09-25 – 2015-09-28
  • [学会発表] Analysis of Chamaeleon Cloud Regions Using Planck Gas Model Maps (Optically-thick HI hypothesis)2015

    • 著者名/発表者名
      K. Hayashi, T. Mizuno, H. Tajima, Y. Fukui and A. Okumura
    • 学会等名
      Fermi-LAT collaboration meeting
    • 発表場所
      Torino, Italy
    • 年月日
      2015-08-31 – 2015-09-04
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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