研究課題
半導体に高エネルギーの光を照射した際に、1光子の吸収によって多数のキャリアが生成される現象が現れる。このような現象は太陽電池における光電変換機能の高性能化などの応用にも利用できる可能性がある。特に、半導体量子ドットにおいては、キャリア増幅過程が高効率に現れる可能性が指摘されているが、そのメカニズムについては十分に理解されておらず、その基礎的知見の蓄積が期待されている。本研究では、可視光照射によってもバンドギャップエネルギーの数倍以上の高エネルギーの光照射を行うことができる低バンドギャップエネルギーのゲルマニウム量子ドットに着目し、光照射によるキャリア生成においてそのキャリア増幅過程を発現させること、およびそのメカニズムを解明することを目指した。従来より多キャリア生成の検出には、時間分解分光において、多キャリア生成により現れるキャリア再結合過程の検出が用いられてきたが、この方法においては外因的な効果による過大評価がが指摘されており、本研究では発光強度または光電流をプローブに用いて絶対キャリア数の評価によりキャリア増幅を検出することを行った。具体的には、(i)光励起キャリアの運動エネルギーを系統的に変化させるために、波長可変レーザー光源を用いた系統的に照射光エネルギーを掃引する測定系の構築、および照射光エネルギーの掃引範囲の高エネルギー化を行った。また、光電流測定用および発光測定用に、シリコンpn接合中のゲルマニウム量子ドットおよび酸化膜上薄膜結晶シリコン上のゲルマニウム量子ドットについて作製を行い、(ii)光電流および発光強度の評価によって光励起キャリア数を定量的に調べ、高エネルギー光を照射した際の信号増強の検出を試みた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS
巻: 54 ページ: 04DR031-04DR034
10.7567/JJAP.54.04DR03