研究課題
電気伝導性フラストレート系スピネル酸化物LiV2O4について、中性子非弾性散乱研究を進めた。本物質はd電子系で最大の有効電子質量(重い電子)を示すことで注目を集めて来た。研究の結果、本系が、絶縁性フラストレート系と同様、特異な準局所的時間・空間相関「スピン分子(スピン軌道分子)」を生成することを観測した。また、このスピン分子が、観測例の極めて珍しい局在と非局在の両面を持つ磁気形状因子を伴うことを明らかにした。この結果は、スピン分子が非局在(伝導)電子から構成されていること、すなわち、スピン分子が重い電子現象や関連する輸送現象全般に直結することを示すものである。次に、絶縁性フラストレート系スピネル酸化物ZnFe2O4とMgV2O4について、中性子非弾性散乱研究を進めた。本物質群は、超音波測定により音や熱輸送に異常が観測/期待される。J-PARC MLF の停止に伴い、研究は遅れを余儀なくされたが、米国中性子施設の併用と2月下旬からの J-PARC MLF の復旧により、単結晶中性子非弾性散乱実験を遂行することまで成功した。特徴あるスピン分子(スピン軌道分子)の観測に成功したと考えている。現在、解析中である。
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http://www.phys.tohoku.ac.jp/research-fields/cme1/materials_structure/