• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

巨大な正方晶歪みのもたらす特異的な物性の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26800180
研究機関中央大学

研究代表者

岡 研吾  中央大学, 理工学部, 助教 (80602044)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード固体化学 / 構造物性 / アニオン複合化 / 酸フッ化物
研究実績の概要

今年度はPb,Biを含むペロブスカイト酸化物の研究を行った。
本研究課題である巨大な正方晶歪みを有する系として、Bi2ZnVO6などの、ABO3で表記されるペロブスカイトにおいて、Bサイトを異なる二つ以上の金属イオンが占有する系を対称とした。SPring-8にて放射光粉末X線回折実験を行い、リートベルト解析を用いて構造相転移を精密に調べた。Bi2ZnVO6はBiCoO3と同様の構造を取るが、BiCoO3が3 GPaで構造相転移するのに対し、6 GPaまで巨大正方晶歪みが安定であることがわかった。両者の違いは、スピン状態転移の影響を伴うか伴わないかの違いを反映しているのではないかと考えている。
今年度は、Pbを含む系において、アニオン複合化物の研究も行った。Pb,Tiを含むPbTiO3は、Pb2+の6s2孤立電子対とTi4+のd0電子配置により、正方晶歪みを有する結晶構造が安定化されると指摘されている。しかしながら、Pb2+とTi4+を含む酸化物としては、PbTiO3とPbTi3O7が報告されるのみである。本研究では、O2-とF-を複合化することにより、新しいPb2+,Ti4+を含む化合物の合成を目指した。物質探索を行った結果、新物質Pb2Ti4O9F2を発見した。この物質はBi2Ti4O11の高温常誘電相と同じ構造であり、Bi3+,Pb2+の6s2孤立電子対によって安定化される、珍しい結晶構造であると言える。さらに精密構造解析を行った結果、O2-とF-が秩序化していることが示唆された。このようにアニオンがオーダーしている系は、固体化学的に、興味深い系であると言える。
今後は本研究をさらに発展させ、巨大正方晶歪みのもたらす分極回転現象などの構造物性を明らかにしていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的としていた新物質の発見、および構造解析は順調に進んでおり、期待していた成果はほぼ得られている。

今後の研究の推進方策

昨年度の成果により、新物質の発見およびその構造解析を明らかに出来た。今後は、昨年度の知見を活かし、さらなる新物質の発見を目指すと同時に、分極回転などの正方晶歪み由来の興味深い現象を研究していく。

次年度使用額が生じた理由

所属している大学学部より、研究発表の旅費補助を受けられたため、その分が主に次年度使用額となった。

次年度使用額の使用計画

合成手法の改良に使用する。
具体的には、金・白金チューブを用いたガラス封管内での合成を行うための消耗品代とする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] New PbTiO3-Type Giant Tetragonal Compound Bi2ZnVO6 and Its Stability under Pressure2015

    • 著者名/発表者名
      R. Yu, H. Hojo, K. Oka, T. Watanuki, A. Machida, K. Shimizu, K. Nakano, and M. Azuma
    • 雑誌名

      Chemistry of Materials

      巻: 27 ページ: 2012-2017

    • DOI

      10.1021/cm504133e

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Suppression of temperature hysteresis in negative thermal expansion compound BiNi1-xFexO3 and zero-thermal expansion composite2015

    • 著者名/発表者名
      K. Nabetani, Y. Muramatsu, K. Oka, K. Nakano, H. Hojo, M. Mizumaki, A. Agui, Y. Higo, N. Hayashi, M. Takano and M. Azuma
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 106 ページ: 061912

    • DOI

      10.1063/1.4908258

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Superconductivity in Noncentrosymmetric Iridium Silicide Li2IrSi32014

    • 著者名/発表者名
      S. Pyon, K. Kudo, J. Matsumura, H. Ishii, G. Matsuo, M. Nohara, H. Hojo, K. Oka, M. Azuma, V. O. Garlea, K. Kodama and S. Shamoto
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 83 ページ: 093706

    • DOI

      10.7566/JPSJ.83.093706

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] High-pressure synthesis of BaVO3: A new cubic perovskite2014

    • 著者名/発表者名
      K. Nishimura, I. Yamadab, K. Oka, Y. Shimakawa and M. Azuma
    • 雑誌名

      Journal of Physics and Chemistry of Solids

      巻: 75 ページ: 710-712

    • DOI

      10.1016/j.jpcs.2014.02.001

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規鉛含有酸フッ化物の合成と結晶構造2015

    • 著者名/発表者名
      岡研吾、大石克嘉
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 2015年会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-20
  • [学会発表] ペロブスカイトAA’BB’O6 の高圧合成および構造・物性評価2014

    • 著者名/発表者名
      岡研吾,北條元,深谷亮,成瀬卓,沖本洋一,東正樹,綿貫徹, KIM Hyunjeong,町田晃彦,榊浩司、大石克嘉
    • 学会等名
      第55回高圧討論会
    • 発表場所
      徳島大学
    • 年月日
      2014-11-22 – 2014-11-24

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi