マルチバンド構造を持つ鉄系超伝導体Ba(Fe1-xCox)2As2とA-15超伝導体V3Siの超音波吸収係数の精密計測を行い、構造相転移に向かって弾性定数の発散的なソフト化とともに超音波吸収係数の発散的な増大を観測した。これは四極子の臨界減速であり、構造相転移が強四極子秩序転移であることを示している。一方、超伝導転移点に向かっては、超音波吸収係数だけ発散的増大を示した。横波超音波が誘起する回転に着目し解析・計算を行った結果、四極子相互作用を介して2個の伝導電子が束縛状態を作り十六極子を形成し、超伝導転移に向かってその十六極子の揺らぎが発散的に増大する臨界減速を起こしていることを明らかにした。
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