本研究課題では,非磁性基底二重項をもつプラセオジム化合物における新奇磁場誘起相転移の起源を解明するために,電気四極子の感受率である超音波実験を磁場28テスラ,温度0.02ケルビンまで行った。その結果,弾性率の磁場依存性において磁場誘起相転移点で明確な弾性異常がみられた。非磁性基底二重項がもつ電気四極子に対応する弾性モードで異常が見られたことから,電気四極子の関与が考えられる。超音波実験から詳細な磁場-温度相図が得られ,2ケルビン付近に相境界の終点が存在することを明らかにした。磁場誘起相転移の起源としては,非磁性基底二重項の多極子と格子が結合した新規振動状態の磁場による破れの可能性がある。
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