研究課題
ナノ構造超伝導体の磁束状態の研究で、非常にピン止め効果の弱いMoGe試料を作製して、電子ビーム描画装置の超高精度で電子ビームでメゾサイズの局所領域を加熱することで、メゾサイズの金属Mo微粒子を析出させ、ピン止め中心として機能させることを目的とした。当初は、(1)ピン止め効果の極めて弱いMo80Ge20アモルファス膜の開発、(2)Mo80Ge20膜質と上部臨界磁場Hc2との関係、(3)Mo80Ge20膜に電子ビーム加熱で金属Moメゾ結晶を析出させて人工的に規則正しくピン止め中心を導入、(4)Mo80Ge20膜の磁束量子配置をSQUID顕微鏡で実測、(5)Ginzburg-Landau理論を用いてMo80Ge20膜の磁束配置の理論計算を実施して実験と比較、(6)正5角形を使い理論と実験の両方からMo80Ge20膜における磁束量子の準結晶を探索を計画していた。平成29年度は平成28年度に実施した研究のまとめを行った。特に、パックマン型超伝導微小板に関しては理論的研究と実験的研究を系統的に行った。特に、理論的研究では磁束のパックマン型微小板への充填規則の解明に力を入れ、新奇なアーク型磁束構造が現れることを明らかにし、よく知られた円盤への充填規則(シェルモデル)と比較した。また、実験的にもSQUID顕微鏡を使った磁束構造の解明を行い、アーク型充填モデルに関して実験と理論の良い一致を得た。また、申請書で提案した電子ビームの集中的照射でピン止め中心を作る手法よりも、イオンミリング装置でわずかな微小な円状のディップを作ることの方がピン止め導入として有効と分かったことから、ピン止め導入手法の軌道修正を行った。パックマン微小板にピニング中心を導入しての磁束構造の研究を理論と実験で系統的に調べた。また、本研究で開発したSQUID素子を用いて、SQUID顕微鏡を構成して、鮮明な磁束像の観測にも成功した。また、冷凍機を改造して、SQUID顕微鏡として使う研究にも着手できた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
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10.1088/1742-6596/871/1/012027
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