ミクロな分子運動からマクロな天体運動まで、自然の各階層における多体系の集団運動を統一的に理解することは、現代科学の重要な課題である。本研究では、非線形力学、統計力学、微分幾何学の手法を駆使してこの課題に取り組んだ。その結果、ミクロな分子運動の階層においては、回転型分子モーターの運動機構やDNAの高次らせん形成に関する新たな幾何学的モデルを提案することができた。また、原子集合体の解離運動を駆動する集団的内力の競合過程を特徴付けることができた。マクロな天体運動の階層においては、共鳴重力アシストと周期軌道の不変多様体を併用することにより、燃料消費を抑えた宇宙機の天体間遷移軌道の設計を実現した。
|