平成28年度は、偏波保持出力型の光ファイバーアンプの製作し、最適なパルス増幅ができるように偏波保持型のシングルモードファイバーとエルビウム添加ファイバーの長さで分散を調整した。高非線形ファイバーによる広帯域化に適したパルスエネルギーはまだ得られておらず、引き続き調整が必要である。 研究期間を通して、偏波保持出力型の光周波数コムオシレーターを製作し、中心波長1560 nmで半値全幅47 nmの広いスペクトル帯域を持つ光周波数コムを発生させた。これは、従来型の光周波数コムと比べても遜色ない。続いて、偏波保持型の光ファイバーアンプを製作し、高いパルスエネルギーが得られるように分散を調整したが、まだ波長広帯域化に十分なパルスエネルギーは得られていない。 また一方で、この研究期間中に偏波保持型ではない光周波数コムとPPLN導波路を用いた可視から中赤外にわたる広帯域スペクトル発生を達成しており、これを偏波保持化することで高効率かつ安定なスペクトル発生を実現できる見通しは立った。期間中に全ての目標は達成できなかったが、必要な材料はそろっているので引き続き研究を進め、可視から中赤外にスペクトルを持つ狭線幅光周波数コムを開発する予定である。
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