肝臓の微細構造を調べると、血管系である類洞、毛細胆管、肝細胞の列が織りなす3次元共連結構造を構成している。この構造を数理的に理解するために、次の2つの研究に取り組み、3次元の数理的な言葉の理解へ結びつけようと研究を進めてきた。以下具体的な研究項目を示す。 (1)肝疾患による微細構造の形態変化解析:脂肪肝ラットモデルを作成し、その肝臓片の3次元微細構造を解析した。前年度作成した反応拡散系モデルを用いた画像解析プロトコルの改定を行った。疾患進行度と統計的な差が見られる事をとりまとめ、国際学会で発表を行い、国際紙に掲載した。また、このプロトコルを用いて多色染色時の像の解析への応用を考え、そのモデル方程式である反応拡散モデルの解の挙動の解析、ならびに効率的なプロトコル作成に取り組んできた。 (2)血管系のフラクタルモデルを用いた研究:類洞網の共焦点レーザー顕微鏡像を画像解析すると、3次元フラクタル構造を示すことを示し、この性質から類洞の管径がべき分布するというモデルをたて、計算できる管の面積、体積、分岐の個数などを調べた。また、東京医科歯科大学との共同研究により類洞の血流をin vivoで観測データをもとに、類洞の張り巡らされている形状が、血流を流すという点についてその適応性を調べた。
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