細胞の自発的な運動(外部刺激非存在下でのランダムな運動)やゆらぎを軸とする視点から,細胞の情報処理機構を捉えるための基礎研究を行った。細胞性粘菌の野生型細胞と変異体細胞,およびマウスのT細胞や神経細胞において,細胞の自発的な運動の包括的な統計解析を実施し,その統計的特徴や適合する数理モデルの共通性を定量的に確認した。そこで得られた一般性のある結果を基に,外部刺激とその変化に対する細胞の柔軟な方向性運動の実現(細胞の情報処理出力)において,細胞の自発的な運動やゆらぎが積極的な役割を果たしているという描像を提案した。
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