本研究では、生命に不可欠な水が蛋白質の機能的運動にどのような役割を果たすかを明らかにするために、分子動力学(MD)シミュレーションと構造解析実験を組み合わせながら、酵素蛋白質グルタミン酸脱水素酵素(GDH)が基質を捉える運動と水和構造変化の相関を調べた。その結果、GDHの機能的運動がその表面での水分子の脱離・吸着で制御されていることを見出した。 さらに、X線結晶構造解析で観察された水和構造を原子レベルで再現する分子ポテンシャル関数の開発を行った。MDと量子化学計算を併用した計算から、実験水和構造を再現するためには、非共有電子対を露わに取り込んだポテンシャル関数が必要なことが明らかになった。
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