研究課題/領域番号 |
26800229
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研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
谷川 享行 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30422554)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 衛星 / 惑星 / 円盤 / 太陽系 |
研究実績の概要 |
本研究における目的は、衛星系形成の母体であり、かつ巨大惑星形成段階において原始惑星系円盤からの物質輸送経路でもある周惑星円盤への物質供給機構を解明し、衛星系形成過程の基礎を確立することである。
原始惑星系円盤ガスを捕獲して成長するガス惑星は、惑星自身の強い重力の影響で円盤にギャップ構造を形成し、餌となるガス・ダストを惑星自身から遠ざけることで、自らの成長を妨げる。周惑星円盤への降着を正しく調べるためには、原始惑星系円盤自体の大規模構造と、周惑星円盤という小さい円盤構造を矛盾なく同時に求める必要がある。また、周惑星円盤へのガス降着の構造は本質的に3次元なので、3次元計算を行うことが必須である。そこで、3次元で原始惑星系円盤全体を解きつつ、惑星近傍を高解像度で解くために、コード開発を行う。円盤という軸対称性の良い構造を高精度で解くには、円柱座標系の数値計算メッシュを適用して解くのが数値粘性などの誤差低減のために望ましい。かつ、解像度を上げるためには多重格子法を用いるのが最適である。そこで、昨年度はまずこの2つの要素を組み込んだコードを開発する予定であった。しかし、この多重格子化に向けてのコード開発はまだ順調に進んでいないのが現状である。
一方、周惑星円盤へのガス降着を決める原始惑星系円盤の状態については理解が大きく進んだ。ガス惑星が原始惑星系円盤ガスを捕獲する際に、原始惑星系円盤中にギャップを形成する。このギャップにより周惑星円盤への物質供給が抑制され、衛星形成に重要な影響を与える。最新の数値流体計算結果を取り入れてギャップの深さをより正確に考慮し、周惑星円盤へのガス降着率の時間進化を求めた。この成果は、国際専門誌(The Astrophysical Journal) に受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請時から異動が2回あり、申請時と比べて研究環境が大きく変化したため、申請時に計画していたとおりに研究を遂行するための時間の確保が大変困難となっている。そのため、計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2回の異動により、コード開発については順調に進められていない状況である。研究計画の実行をより着実に進めるために、現在、新たな研究協力者の助けをかりつつ共同での開発を行うか、もしくは近年開発が進んだ公開数値流体計算コードを利用するか、検討中である。その上で、惑星近傍のガス流の速度・密度場を高解像度で求め、衛星材料物質であるダストが周惑星円盤へどのように降着するのか、またダスト降着率がダストサイズにどう依存するのかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時から異動を2回行ったため、申請時と比べて学内業務が格段に増え、そちらに多くの時間を費やす必要が生じた。そのため、研究時間の確保が難しい状況となっていた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究時間の確保については厳しい状況は今年度も変わらないことが予想される。しかし、新たな共同研究者を探すなど本研究計画推進のためにできることは最大限やっていくつもりである。
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