研究課題/領域番号 |
26800236
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
國本 健広 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 研究員 (20543169)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノダイヤモンド多結晶体 / マルチアンビル装置 / 圧力発生 |
研究実績の概要 |
本研究ではまず、大容量試料の確保と高圧発生の両立を目指して圧力媒体やガスケットの形状の最適化を行った。6-6加圧式マルチアンビル(MA6-6)では、通常、立方体の圧力媒体を用いるところ、本研究ではその稜線を切削するなどし、特殊な形状の圧力媒体を採用した。またガスケットは三角柱と台形の形状を作成した。その結果、アンビルのすべての面に一様にガスケットを配置することが可能となり、一般的なMA6-6よりも均一な加圧を可能とした。またこの方式をとることによって、通常のMA6-6と比較し、圧力発生効率を落とすこと無く、かつ3割り程度大きな試料容積を確保することが可能となった。さらに、加圧後のアンビル間距離は通常のMA6-6と比較し2-3倍程度確保することができる。この利点は試料容積とアンビル間距離の確保が重要な中性子実験などへの利用においても威力を発揮すると思われる。本研究で用いた試料部構成は、本研究の他に、既に東京大学物性研究所、中性子実験施設J-PARC、岡山大学のグループなどで試験的に採用された実績がある。 初年度の後半は最適化を行った試料部構成中に一対のナノダイヤモンドアンビルを配置した6-6-2式マルチアンビル(MA6-6-2)を採用し、通常のMA6-6では不可能な、地球マントル最下部程度の圧力発生を目標とし、圧力発生試験および、試料部構成の最適化を進めた。実験に用いたナノダイヤモンドは研究者自身が合成し、加工はレーザー加工を採用することで費用の面でも大幅なコストダウンに成功し、多数の試験を実施することが可能となった。 圧力発生試験の結果、最大40 GPaを超える圧力発生に成功している。この時の供給荷重はわずか0.3 MN程度である。供給可能な最大荷重は1.5 MN-2.0 MNであると考えられるため、今後の試料部構成の最適化によってさらなる圧力発生が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に記載した初年度の目標は主に ナノダイヤモンドの合成、6-6式マルチアンビル装置に関する技術開発、そして高圧発生であった。そのうちはじめの2項目に関しては当初の目標以上に達成することができた。 しかしながら、圧力発生に関しては申請時の目標値を下回っているため、自己評価は(2)を選んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMA6-6-2式の試料部構成の最適化を進め、より高い圧力発生技術の確率を中心に進める。 これまでに行った実験では、アンビル間距離と圧力発生効率の関係を系統的に調べてきた。次年度はダイヤモンドアンビルの形状、特にキュレットサイズやテーパー角度を変化させてより高い圧力の発生を目指す。本研究は予備的な実験は愛媛大学に設置されたマルチアンビル装置を用い、実際に圧力発生効率を調べる際にはSPring-8のBL04B1に設置されたマルチアンビル装置を用いている。このBL04B1設置のマルチアンビル装置は上下のアンビルのみ独立して駆動させることが可能である(D-DIA)。これを利用することで、試料部構成を加圧後に、さらに追加加圧を行う事が可能である。この時の加圧方向は試料部構成中に設置されたダイヤモンドアンビルと同様の方向であるため、圧力発生効率を大幅に向上させることが可能であると見込んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品として超硬合金製のアンビルを多数購入する予定であった。これは通常の試料部構成を最適化する過程で多数破損するためであるが、本研究ではこの技術開発の過程が非常に順調に進んだため、予定していた額よりも少額で済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越分はナノダイヤモンドの加工に当てる予定である。ナノダイヤモンドは超硬合金製アンビルと同様に消耗品であり、実験ごとに破損する部分であるため、繰越分をダイヤモンド加工に当てることができればより多く実験を行う事ができ、より良い成果を残すことが期待できる。
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