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2015 年度 実施状況報告書

ナノダイヤモンド多結晶体の高圧発生への利用:マントル全域に渡る圧力発生技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26800236
研究機関愛媛大学

研究代表者

國本 健広  愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, その他 (20543169)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードナノダイヤモンド多結晶体 / 超高圧発生 / 新開発超硬合金
研究実績の概要

大容量の試料容積を確保した上での地球の下部マントルに相当する高圧条件の発生を目指し、マルチアンビル装置のアンビル材としてナノダイヤモンド多結晶体(以下NPD)を用いた高圧発生技術の開発を行った。実験装置には6-6加圧式マルチアンビル装置(以下MA6-6)を採用した。従来MA6-6を用いた場合の圧力発生は15 GPa程度が一般的であり、この条件は地球の上部マントルの下部程度に相当する。本研究ではMA6-6の圧力媒体内に一対のNPD製アンビルを配置することによってその圧力発生限界を50 GPa程度にまで拡大することに成功した。またその際の供給荷重は0.5 MN未満であり、低荷重、高圧力の発生に成功したといえる。低荷重での圧力発生は大型の高圧発生装置を必要とせず、低コストでの実験が可能である。
また、本研究では近年開発された新たな超硬合金(TJS01)製のアンビルを用いた高圧発生試験を実施し、その結果を鑑みて試料部構成の最適化を行った。この実験は川井式マルチアンビル装置(以下KMA)を用いて行われた。従来のKMAのアンビル材には超硬合金(WC)もしくは焼結ダイヤモンド(SD)が用いられ、発生可能な圧力限界は、それぞれ30 GPa(WC), 70 GPa(SD)程度である。SDアンビルを用いることによって圧力発生効率は格段に上昇するがコストの面と技術的なハードルの高さから、SDの使用は一般的ではない。本研究ではKMAによる低コスト且つ高圧力の発生を目指して上記の新開発アンビルを用い、WCアンビルでありながら50 GPa領域の圧力発生に成功した(Kunimoto et al. 2016)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ナノダイヤモンド多結晶体を用いた高圧発生に関しては概ね順調に発生圧力を拡大出来ているものの、申請した目標に到達できていない。この点に関しては本年度5月および6月に実施される放射光実験にて追加実験を行い、初期の目標到達を目指す。
また、申請段階では開発されていなかった新たな新素材(新開発超硬合金TJS01)が最近開発され、その優先的な使用が可能であったため、これを使用した高圧発生試験の実施が可能であった。研究代表者はこの新素材を用いた圧力発生試験を集中して実施し、当初予定していなかった成果を挙げることが出来た。

今後の研究の推進方策

今後は焼結ダイヤモンドを用いての予備実験を繰り返し、その結果最も圧力発生効率の良い試料部構成を用いてナノダイヤモンド多結晶体製アンビルを用いた圧力発生試験を実施する。予備実験には最大60 GPa程度までの圧力を見積もることの出来るFe2O3を試料とする予定である。また、研究代表者は京セラとの共同研究によって新たなセラミックスの開発を進めており、この素材の圧力媒体への利用を昨年度から進めてきた。今後は断熱性や圧力発生効率の差などを確認しつつ、マルチアンビル装置にとって最適な圧力媒体材料の模索を進める。
また、NPDを用いた圧力発生だけでなく、発超硬合金製アンビルを用いた圧力発生試験も継続して進める予定である。こちらは目標圧力を概ね達成出来ており、今後は高圧だけでなく高温発生技術の開発にも取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度参加した放射光実験の実験日数の変化によって、旅費の一部が不要となったため、差額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度の5月および6月中に申請課題内容に沿った放射光実験の実施が可能となっため、その実験準備にあてる予定である。また、前年度までの成果を論文化するために使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Pressure generation to 50 GPa in Kawai-type multianvil apparatus using newly developed tungsten carbide anvils2016

    • 著者名/発表者名
      Takehiro Kunimoto, Tetsuo Irifune, Yoshinori Tange, Kohei Wada
    • 雑誌名

      High Pressure Research

      巻: 未定(published online) ページ: 未定

    • DOI

      10.1080/08957959.2016.1148149

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] New tungsten carbide anvils potentially important for melting experiments under lower mantle conditions2016

    • 著者名/発表者名
      Irifune Tetsuo, Kunimoto Takehiro, Yoshinori Tange, Wada Kohei
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2016
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26
    • 国際学会
  • [学会発表] 新開発超硬アンビルを用いた川井式マルチアンビル装置による50 GPa領域の超高圧発生2015

    • 著者名/発表者名
      國本健広、入舩徹男、丹下慶範、和田光平
    • 学会等名
      第56回高圧討論会
    • 発表場所
      アステールプラザ(広島県広島市)
    • 年月日
      2015-11-10 – 2015-11-12

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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