研究課題/領域番号 |
26800241
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
風早 竜之介 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (50637379)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 火山学 / 火山ガス / 噴火活動推移予測 / ブルカノ式噴火 / 噴火準備過程 |
研究実績の概要 |
桜島火山にて合計17日間火山ガス放出量観測を行い,噴火前の火山ガス放出量変動を測定した.観測・天候状況に応じ,紫外分光計を用いたトラバース法,紫外線カメラを用いた噴煙イメージング法の二種類の観測手法を使い分けた.また,2月に桜島火山にてアラスカ大学の研究グループと合同で火山ガス放出量・空振・火山灰の多項目火山観測を行った. 観測中に発生したブルカノ式噴火のうち,三つのケースで前兆的な地殻変動(山体膨張)と火山ガス放出量の減少が認められた.この観測結果は,噴火準備過程において火道が狭窄し,火山ガスが火道内に蓄積し,火口下にガス溜まりが形成されていることを示唆している.また,噴火後は噴火前よりも火山ガス放出量が若干上昇するという傾向が見られた.これは噴火による物質の放出により,火道の浸透率が増加した事を示唆している.火道の状態(浸透率・圧力変化)は噴火の爆発性に強く関連すると考えられるため,噴火活動推移予測技術の高度化のために,今後データを蓄積し,火道状態のモデリングを進めることが重要である. 現地での野外観測・調査手法の検討の結果,冬型気圧配置・強風条件下では,本研究課題に必要十分な時間分解能のデータがトラバース法によって得られることが解った.噴煙イメージング法では空に雲がある状況・強風条件では定量性の高いデータの取得が困難であり,十分なデータを得るためには観測回数の増加あるいは定常観測点の設置が理想的である事が解った.今年度は天候・風の条件が良い秋から冬にかけて,桜島火山に長期滞在し集中的火山ガス観測(トラバース法をメインとし,観測条件が良好な場合に噴煙イメージング法を実施)を予定している.特に昨年度御嶽山噴火対応等で観測回数を減らした分の追観測を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年に御嶽山・阿蘇火山にて噴火が発生した.緊急噴火対応として,御嶽山・阿蘇火山にて急遽火山ガス観測を実施した.このため,桜島火山での野外調査期間を当初の予定よりも短く設定する必要があった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては,昨年度までに観測したデータを解析し,噴火の準備過程におけるガス蓄積過程のモデリングを行い,論文を国際雑誌に投稿する.また,秋・冬の時期に前年度に御嶽山噴火対応等の理由で実施できなかった火山ガス放出量の追観測を行う. アラスカ大学研究グループと合同で観測した結果について,データを相補的に解析し共同研究に発展させるとともに,ブルカノ式噴火の準備過程について,空振・火山灰研究の知見を加えたモデリングを行い,噴火活動推移予測技術の高度化を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年に御嶽山・阿蘇火山にて噴火が発生した.緊急噴火対応として,御嶽山・阿蘇火山にて急遽火山ガス観測を実施した.このため,予定していた桜島火山での野外調査の一部が実施出来なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
2014年度に実施出来なかった桜島での野外調査を今年度実施するための旅費として使用する.また,調査に用いる紫外分光計が不調のため,状況に応じて機材の修理あるいは購入のために使用する可能性がある.
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