| 研究課題/領域番号 |
26800244
|
|---|
| 研究機関 | 東京大学 |
|---|
研究代表者 |
伊藤 純至 東京大学, 大気海洋研究所, 研究員 (00726193)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 接地境界層 / LES / 風洞実験 / DNS / 乱流フラックス / 大気境界層 / バルク法 |
|---|
| 研究実績の概要 |
乱流変動をある程度高精度に表現可能なラージ・エディ・シミュレーション (LES) が普及し、微細気象の解析等に利用される。しかし、LESのための適切な接地境界条件は依然として未解決である。不確定性を排した乱流の直接計算 (DNS) の数値実験結果や室内実験・屋外観測をもとに、従来の接地境界条件の問題点を具体化し、接地境界条件を決定づけるダイナミクスの理解を通して、適切な接地境界条件の改良に着手し、LESの信頼性の向上へつなげる。以下、平成26年度の計算実績を述べる。
1. 並列計算機用のためのDNSプログラムを整備し、レイノルズ数が数100程度と中程度の計算規模である中立乱流エクマン層のDNSを、大型並列計算機において実施した。壁面付近の流速など基本的な物理量とともに、高次相関など様々な統計量も確認し、計算結果な詳細な検証を行った。先行研究と十分整合する乱流エクマン層が再現されていることがわかった。
2. なるべく壁面粗度を小さくした中立接地境界層の風洞実験を実施した。実際の接地境界層でみられるように鉛直運動量フラックスがほぼ一定になる壁面高さを確認した。この壁面高さにおいて、1時間を超す十分長時間の時系列データの取得に成功した。時系列データの解析プログラムを開発し、特にLESの接地境界条件に相当する短い時間フィルターでの、風速と運動量フラックスの関係について考察した。
３．接地境界層の乱流構造の屋外観測について成果を発表した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状の接地境界条件の問題点の定性的な指摘のためには、十分な品質である風洞実験の時系列データが取得できており、現在成果発表のため準備を行っている。またDNSプログラムの準備・検証も完了している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
時系列データ取得サブルーチンを実装したDNSを本格実施し、接地境界条件の定式化に活用するため、より高いレイノルズ数の計算結果を得る。風洞実験については結果のまとめを行う一方、DNSを実施しにくい粗度が大きい場合について追加の風洞実験を予定している。
|
