対流圏界面領域の水蒸気量変動は大きな放射強制力を持つが、特に南極域において、十分な観測が実施されてこなかった。本研究では、南極昭和基地での水蒸気ゾンデ観測により、南極対流圏界面領域における高精度・高鉛直分解能な水蒸気データを取得することに成功した。得られた水蒸気データと衛星観測データや粒跡線解析を併用することで、南極成層圏における脱水量の年々変動や、脱水・湿潤化過程のメカニズムを明らかにした。本研究の結果は、対流圏の温暖化と成層圏の寒冷化が進む将来の南極において、対流圏界面領域の水蒸気量がどのように変動し、温暖化にどのように寄与するかを知るうえで重要である。
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