研究課題
本研究の目的は、太陽のプラズマが、太陽表面から惑星間空間のどこでどのように加熱・加速され、太陽コロナ・太陽風の形成に至るのかを明らかにするため、多種の観測データを数値シミュレーションを密接に結合させた「太陽コロナシミュレータ」を構築することである。本年度は、太陽観測データと太陽コロナ磁場モデル(ポテンンシャル磁場・フォースフリー磁場)で計算された磁場の比較を行うためのツールの開発を行った。ひので衛星・SDO衛星による極端紫外線観測および野辺山太陽電波観測所で得られる電波観測の偏波の値から推定されるコロナ磁場強度と、磁場モデルによって高級の磁場から計算されるコロナ磁場強度を詳細に比較した研究結果が出版された。また、惑星間空間の太陽風数値シミュレーションでは、コロナから太陽風の中を伝搬するコロナ質量放出の取り入れるモデルを開発した。これらを用いることで、観測データの情報を数値シミュレーションに入力することができるようになった。太陽コロナ・太陽風の加熱・加速に重要な役割を果たす乱流を取り入れた、太陽風数値シミュレーションの開発を進め、様々な太陽風構造の中での乱流の生成・輸送・散逸を計算した結果を論文として投稿、現在査読中である。次年度は最終年であるため、これまで開発を行ってきたツールを「太陽コロナシミュレータ」として統合し、乱流の生成・輸送・散逸と太陽コロナの加熱・加速と複雑なコロナ磁場構造との3者の間の関係性を明らかにしていく。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、要素モデルの開発を並行して進めた。本研究に関連して5編の学術論文が出版され、1編が査読中である。太陽観測データと太陽コロナ磁場モデル(ポテンンシャル磁場・フォースフリー磁場)で計算された磁場の比較を行うためのツールの開発を行った。ひので衛星・SDO衛星による極端紫外線観測および野辺山太陽電波観測所で得られる電波観測の偏波の値から推定されるコロナ磁場強度と、磁場モデルによって高級の磁場から計算されるコロナ磁場強度を詳細に比較した研究結果が出版された。また、惑星間空間の太陽風数値シミュレーションでは、コロナから太陽風の中を伝搬するコロナ質量放出の取り入れるモデルを開発した。このモデルは宇宙天気予報にとって重要なモデルであり、2編の論文が出版された。また、太陽風モデルの結果は「ひさき」衛星による惑星大気と太陽風相互作用の研究にも応用されている。金星観測探査機「あかつき」からの通信電波のシンチレーションの計測から太陽風構造を推定する掩蔽観測によって、惑星間空間のコロナ質量放出の内部構造を観測した結果も出版された。太陽コロナ・太陽風の加熱・加速に重要な役割を果たす乱流を取り入れた、太陽風数値シミュレーションの開発を進め、様々な太陽風構造の中での乱流の生成・輸送・散逸を計算した結果を論文として投稿、現在査読中である。
次年度は最終年であるため、これまで開発を行ってきたツールを「太陽コロナシミュレータ」として統合し、乱流の生成・輸送・散逸と太陽コロナの加熱・加速と複雑なコロナ磁場構造との3者が、磁力線に沿った方向にどのように分布しうるかを調べている。
Space Weather誌に論文を出版したが、計上していた金額よりも低い投稿料であったために出版費を抑制できた。
次年度の別の論文の投稿出版費として利用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 6件) 備考 (3件)
Space Weather
巻: 14 ページ: 56-75
10.1002/2015SW001308
The Astrophysical Journal
巻: 818 ページ: 8
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Geophysical Research Lettes
巻: 42 ページ: 5155-5161
10.1002/2015GL064816
Journal of Geophysical Research: Space Physics
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10.1002/2015JA021076
Journal of Geophysical Research: Planets
巻: 120 ページ: 2037-2052
10.1002/2015JE004849
http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150702.html
http://www.isee.nagoya-u.ac.jp/topics/2016/n_160209.html
http://www.isee.nagoya-u.ac.jp/topics/n_160215.html