研究課題
本研究課題は火山灰凝集効率やその距離変化を調べるために,高速度カメラの多点観測を行うものである.本年度は,高速度カメラによる降灰撮影システムの最適化を実験室で行い,その結果に基づいた野外降灰観測を桜島火山において実施した.野外降灰観測では,観測期間中の風向きが同時多点観測の実施には難しい状況であったため,複数の噴火を用いた高速度カメラ多点観測と,一回の噴火における凝集様式の時間変化を調べた.高速度カメラ観測は,カメラを水平方向に向けて落下する粒子を撮影する方法と,カメラを60度鉛直方向に傾け水平に設置した白版に衝突する粒子を撮影する方法で行い,1000-3000fpsの撮影速度を用いた.また,高速度カメラ撮影と同時に試料採取を行った.桜島火山での野外降灰観測により,9回の噴火について計19回のvideo footageを得た.その結果,降灰様式について以下が明らかとなった.1)一回の噴火について,粒径が同等である場合でも降灰初期から後期にかけて降灰落下速度が減少する.2)一回の噴火では,降灰初期から後期にかけて凝集粒子の割合が増加する.3)降灰域が火口からの距離が遠い場合,粒径が小さくなり,凝集粒子の割合が減少する.降灰観測で得られた結果から,噴火推移とともに火山灰凝集効率が上昇し,それに伴って粒子落下速度が減少することが示唆される.また,凝集火山灰は噴煙内粒子濃度が比較的高い噴火直後に多く生成され,その後は単独粒子と同様の粒径分別を受けて降灰に至ると考えられる.ここまでの議論は高速度カメラ観測の結果のみから得られたものである.今後,研究期間内に至らなかった採取試料の粒度分布解析を行うことで,火山灰凝集効率をより定量的に明らかにしたい.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
Journal of disaster research
巻: 11 ページ: 15-30
doi: 10.20965/jdr.2016.p0015
京都大学防災研究所年報
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