化石歯鯨類耳周骨のマイクロCTスキャンと可聴域の復元については,研究期間内に行うことができなかったが,国内外の博物館に収蔵されている現生・化石歯鯨頭骨の左右非対称性について定量化を行った(16科37属53種).その結果,以下のことが明らかとなった:①正中線からの偏り具合と左右の骨のサイズの違いは必ずしも一致しない②ネズミイルカ科では,正中線からの偏りと右の前上顎骨の相対サイズが小さくなり,どちらの観点においても頭骨が2次的に左右対称に進化した③マイルカ科では他の分類群と比べて右の鼻骨が左の鼻骨に比べて有意に大きい④アカボウクジラ科ではアカボウクジラとハッブスオウギハクジラの左右非対称性は強い.
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