惑星構成物質の熱輸送特性は固体地球惑星内部の熱的進化過程を理解するうえで欠かせない情報である。地球核は鉄を主成分とする合金で構成されていると考えられている。金属の主要な熱輸送機構である電子輸送の定量評価のための鍵となる物理量が電子ーフォノン散乱強度である。本年度は地球内核の主要構成鉱物と考えられているhcp型鉄に対して,密度汎関数理論および密度汎関数摂動論に基づく第一原理電子-フォノン相互作用計算を行い,フォノン散乱に伴うマルチメガバール条件下における電子寿命を電子バンド依存性を考慮して決定した。次いで,hcp型鉄の結晶構造の格子非調和性も考慮して電気抵抗率を地球中心核圧力条件下で決定した。
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