本研究では様々な環境下におけるアミノ酸の生成・重合挙動についての評価を行った.まず熱力学的評価においては,20種のタンパク質アミノ酸・3種の単鎖ペプチド・4種の非タンパク質アミノ酸の熱力学パラメータを導出した.このパラメータを用いた計算により,冥王代のアルカリ熱水噴出孔環境,すなわち低温で弱酸性の海水と高温でアルカリの熱水との混合が生じるpH・温度の急勾配はタンパク質アミノ酸の生成と重合に有利であると推定された.実験による評価では,9種の酸化鉱物上でのグリシンの重合化を調査した.鉱物表面による重合活性はアミノ基の酸解離と,カルボキシル基中炭素の電子密度の低下によってもたらされると推測された.
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