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2016 年度 実績報告書

シリカ高圧相から読み解く月への小惑星衝突史

研究課題

研究課題/領域番号 26800277
研究機関広島大学

研究代表者

宮原 正明  広島大学, 理学研究科, 准教授 (90400241)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード月 / 隕石 / 高圧相 / アポロ試料 / シリカ / 衝撃変成 / 放射年代 / インパクト
研究実績の概要

28年度には新たに入手した月起源隕石NWA 479の記載を行った。 NWA 479の岩石組織及び構成鉱物種は既に記載を終えたNWA 032(玄武岩)とよく似ていた。NWA 479の衝撃溶融脈に接するカンラン石にはリングウッダイトへの相転移組織或はブリッジマナイト+マグネシオブスタイトへの高圧分解組織らしきものが観察されたが,組織が微細であったため分析が難しく確証を得ることができなかった。
本年度は遅れていた高圧相のカイネティクスを用いた衝撃イベント持続時間の見積もりを試みた。今回記載した月表層岩石試料ではシリカが角礫岩内に含まれていた。角礫岩は不均質でありインパクト・イベント定量化に用いるモデルの構築が困難であった。そこで,代わりに衝撃溶融脈に生成したリングウッダイトのカイネティクスに基づくモデル計算を試みた。隕石中のリングウッダイトをTEMで観察すると,リングウッダイトは数百ナノメートルの粒子の集合体となっていた。これは衝撃を経験した普通コンドライトに含まれるリングウッダイトの特徴と同じである。リングウッダイトのカイネティクスに基づき得られた衝撃誘起高圧力持続時間はシリカのカイネティクスに基づく結果より1桁程度長くなった。何故このような差が生じたのか原因を検討している。
記載の終わった月起源隕石試料(NWA 2977)のリン酸鉱物のU-Pb放射年代の測定も行った。予想に反して衝撃溶融内部と母岩で放射年代に差異が認められなかった(共に約31億年)。一方,母岩中の一部のリン酸鉱物は相対的に若い放射年代を示したが(約3000万年;誤差の範囲で現在),その理由については現在も検討中で明確な答えは得られていない。
今回の研究計画では月起源隕石5個と月回収試料2個を調査した。予想外の結果が多かったものの,先行研究成果に格段の知見を付け加えることが出来た。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] 赤外吸収分光法により検出される月隕石の水2016

    • 著者名/発表者名
      鹿山雅裕,中嶋悟,富岡尚敬,大谷栄治,瀬戸雄介,長岡央,三宅亮,小澤信,関根利守,宮原正明,留岡和重
    • 学会等名
      日本惑星科学会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2016-09-12 – 2016-09-14
  • [学会発表] 衝撃を受けた隕石からのコーザイト,スティショバイト及びザイファルタイトの発見2016

    • 著者名/発表者名
      宮原正明, 大谷栄治, 山口亮, 小澤信
    • 学会等名
      隕石学会
    • 発表場所
      ベルリン・ドイツ
    • 年月日
      2016-08-06 – 2016-08-06
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 衝撃を受けた天然のシリカ高圧相,2016

    • 著者名/発表者名
      宮原正明, 大谷栄治
    • 学会等名
      東北大学知のフォーラム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-07-03 – 2016-07-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 危難の海から回収されたルナ24号レゴリス試料のキャラクタリゼーション2016

    • 著者名/発表者名
      寺田健太郎, 橋口友実, 河井洋輔, 宮原正明
    • 学会等名
      2016年日本地球科学連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26
  • [学会発表] 月面における水の起源と水源地: 物質科学的見地からの検討2016

    • 著者名/発表者名
      鹿山雅裕, 富岡尚敬, 大谷栄治, 中嶋 悟, 瀬戸雄介, 長岡央, Fagan Timothy, Gotze Jens, 三宅 亮, 小澤信, 関根利守, 宮原正明, 松本恵, 庄田直起, 留岡和重
    • 学会等名
      2016年日本地球科学連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26
  • [学会発表] 月隕石に記録された水に富む月の上部マントル2016

    • 著者名/発表者名
      鹿山雅裕, 中嶋悟, 富岡尚敬, 瀬戸雄介,大谷栄治, Fagan Timothy, 長岡央, 小澤 信, 関根利守, 宮原正明, 三宅亮, 福田 惇一, 留岡和重, 市村隼, 松本恵, 鈴木 康太, Gotze Jens
    • 学会等名
      2016年日本地球科学連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26

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公開日: 2018-01-16  

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