代表者が開発した芳香族分子における光誘起環電流と分子振動の制御理論を一般π電子系へ拡張した。複数の光学禁制状態を経由する可能性が示唆されたピラジンの無輻射失活が、最低禁制状態への直接的な非断熱遷移を経ること、およびその遷移速度が実験から推定されていた値よりもはるかに速いことを見出した。また、理論を多光子励起へと展開し、C60などの球対称系の多光子イオン化の偏光依存特性を決める主要な因子が電子状態間の遷移モーメントの大きさであることを示した。更に、近赤外光に晒されたポリヒドロキシフラーレンが脱水やCO脱離を経て壊れ、グラフェン様ナノフレークからカーボンナノチューブへと成長する反応機構を提案した。
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