触媒反応の活性や選択性を上げるためには,反応過程を分光学的手法で直接観察することが重要である.そこで本研究では近年新たに確立された透過法による液体の軟X線吸収分光を用いて触媒反応のその場観察を行った.その結果,当初目標としていたクロスカップリング反応の系では解決に時間のかかる問題により実現することはできなかったが,酸化チタン触媒を用いたシアノピラジンの水和反応過程(速度)を観察することができた. また,触媒反応で重要な液相中での有機物-イオン間の相互作用の軟X線吸収分光による解析の基礎的な検討として水相中のクラウンエーテル包接錯体の測定を行い局所構造の解析に成功した.
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