キノン類は色素や生物活性分子として広く自然界に分布している化合物群である。その中には、光によって興味深い挙動を示すものがあるが、その反応性は有機合成反応としてほとんど注目されていなかった。 本研究課題では、このキノン類の光反応に着目し、これまで合成が困難であった有機分子骨格の構築法を開発した。すなわち、ナフトキノンの光レドックス反応の一般性を調査し、幅広い基質に適用できることを見出した。さらに、本反応が立体特異的に進行することを明らかとした。開発した反応をナフトキノン二量体天然物であるスピロキシンCの合成へ応用し、その世界初の不斉全合成を達成した。
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