研究課題
これまでに合成した様々なサイズの環状ピロール多量体を用いて、酸化的縮環反応により新規含窒素多環芳香族炭化水素類の合成に挑戦した。既に合成に成功していたテトラベンゾテトラアザ[8]サーキュレンを段階的にN-アルキル化することでその光学特性や固体状態のパッキング構造をチューニングできることを明らかにした。環状ピロール三量体からは、完全縮環したトリアザスマネンは得られず、部分的に縮環した化合物が得られた。一方、環状ピロール六量体からは、選択的に[9]アザヘリセン構造が得られた。鎖状ピロール三量体からも、適切な反応点制御をおこなうことで[7]アザヘリセンが得られた。比較のため、ピロールの代わりにチオフェンを導入した化合物についても同様の検討をおこなった。環状チオフェン六量体の酸化的縮環反応により、部分的に骨格転位を伴った[9]ヘリセンが得られ、ピロールの場合との大きな構造の違いが見出された。ピロールとチオフェンをハイブリッドさせた環状三量体、四量体の合成にも成功した。これら一連の化合物の大部分は、X線結晶構造解析や吸収・蛍光スペクトル測定によって溶液中および固体中での構造と物性を明らかにし、一連の含窒素多環芳香族炭化水素類の構造と性質を系統的に明らかにすることができた。また、環状化合物からFold-in型で内部縮環させて新しい多環芳香族炭化水素類を合成するという新規合成ルートの開拓も特筆すべき事項であり、本合成法が新規物質の開拓に有効であるのみならず、前駆体の設計が異なることで、平面・ねじれ・転位といった様々な構造変化を引き起こすことがわかった。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 11件、 査読あり 14件、 謝辞記載あり 12件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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