研究課題
本研究は、塩包接反応を耐塩基配位高分子に適用し、水酸化物イオンの伝導経路を改変することによって、実用途に耐えうる10-3 Scm-1以上のイオン伝導性を有する新規水酸化物イオン伝導体を創製し、それらの構造と伝導特性、および分子ダイナミクスを明らかにすることを目的とする。平成26年度は、塩包接法による水酸化物イオン含有配位高分子の合成を行った。ルイス塩基に対して耐性が高いと思われる配位高分子であるMOF-74骨格に着目し、強アルカリ溶液中で種々の反応を行ったところ、骨格部分の分解によって、水酸化物塩包接配位高分子の生成は確認できなかった。このため、その他のルイス塩基に対して安定な配位高分子であるMIL-101、HKUST-1等についても同様の強アルカリ条件にて反応を行ったところ、これらの配位高分子においても、反応中に顕著な骨格構造の分解が見られ、本研究で目標としている強アルカリ性水溶液条件での反応は難しいことが分かった。そのため、今後の方策として、引き続き耐塩基性骨格の候補であるDUT-5、UiO-66等を用いて同様の反応を試みる。また、強アルカリ性水溶液でも安定であることが明らかとなっているZIF-8骨格を基盤として、伝導経路を拡張した系の構築を検討している。具体的には、ZIF-8骨格内の細孔を狭めている2-メチルイミダゾール配位子のメチル基を置換した配位子を用いた配位高分子を合成することにより、ZIF-8骨格の伝導経路を拡張した骨格の構築を試みる予定としている。
3: やや遅れている
26年度は新規な配位高分子骨格を用いて、水酸化物塩を包接した配位高分子を合成する予定であったが、当初想定していた母物質であるMOF-74が反応中に分解することが明らかとなったため、骨格の変更を強いられた。そのため、引き続き異なる母物質を探索する必要が生じた。
今後は、新たな母物質の探索を行い、水酸化物塩包接反応による合成を引き続き行うとともに、配位子置換によるZIF-8骨格の伝導経路を拡張についても検討し、新規物質の合成を行う。また、得られた試料を用いた交流インピーダンス測定により、そのイオン伝導性を明らかにする。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 2件)
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