研究課題
本研究は、耐塩基性配位高分子内に水酸化物イオンをイオン伝導キャリアとして包接し、水酸化物イオンの伝導経路を最適化することによって、実用途に耐えうる10-3 Scm-1以上のイオン伝導性を有する新規水酸化物イオン伝導体を創製し、それらの構造と伝導特性、および分子ダイナミクスを明らかにすることを目的とする。平成27年度は、強アルカリ耐性を有するZIF-8を母物質として、細孔内の空間を最大限に拡張したイオン伝導体の作製について検討した。塩基性基を含有する配位子の導入後、ポストシンセシス法によるカチオンの導入および、水酸化物イオンの包接を試みた。塩基性基を有する配位子を、ZIF-8の配位子である2-メチルイミダゾールに代替して加えて加熱することで、部分的に配位子が置換された新規配位高分子を合成することに成功した。粉末X線構造解析、核磁気共鳴スペクトル、熱重量分析、窒素吸着等温線測定により、母物質であるZIF-8の細孔の構造を保持したまま、置換基が導入されていることを確認した。その後、塩基性基をカチオン化するため、ポストシンセシス法による化学修飾反応を試みたが、反応中に母物質が分解する傾向があることが分かったため、今後は条件の最適化により母物質の分解を抑制しつつ、塩基性基を導入した新規配位高分子を母体として水酸化物イオンの包接を試み、伝導経路を拡張した新規水酸化物イオン伝導体の構築を試みる予定である。
2: おおむね順調に進展している
母物質として耐強アルカリ性を有するZIF-8を選択した場合でも、イオン伝導経路を拡張した新たなイオン伝導性配位高分子の合成が可能となる新しい合成ルートを開拓することができた。
新たに発見した合成法を用いて、水酸化物イオン包接配位高分子の創製を行い、そのイオン伝導性について明らかにする。
年度末に納入予定であった物品の納品が予定より遅延したため。
本年度すぐに使用する。
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