遷移金属による炭素-炭素(C-C)結合の切断反応は、石油やバイオマスなどの天然資源からガソリンや基礎化学品などを作る際に極めて重要な反応である。しかし、C-C結合は非常に安定で、様々な反応条件下で反応性に乏しい。今回我々は、常温下で三核チタンポリヒドリド錯体がベンゼンのC-C結合の切断と骨格変換反応を起こすことを見出した。反応機構に関する理論計算の結果、3つのチタン金属が互いに協力し合って炭素-炭素結合の切断に働いていることを明らかにした。我々の結果は、多核チタンヒドリド錯体が安定な芳香環活性化のためのユニークなプラットフォームとして機能しうることを示唆している。
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