研究課題
平成26年度は、研究対象とするロジウム置換型イプシロン酸化鉄について、より高保磁力の材料を得る目的で合成法の検討を行った。ロジウム置換型イプシロン酸化鉄ナノ微粒子は、ナノサイズ効果により得られる相であるが、ロジウムを置換していくことによりイプシロン相が得られる粒子の範囲が狭まってくることがこれまでに分かっている。自然共鳴周波数の高周波化という観点からロジウム置換量の向上を狙い、メソポーラスシリカを鋳型に用いたロジウム置換型イプシロン酸化鉄ナノ微粒子の合成を検討し、メソポーラスシリカのロジウム置換型イプシロン酸化鉄に対するモル比を上げることにより、高置換の合成が可能であることが分かり、高保磁力化・高周波化への足掛かりを得た。また、ランダム配向の試料を用いて、自由空間法による透磁率および誘電率の波長依存性測定、テラヘルツ分光法を用いた透過率測定を併用して、金属置換型イプシロン酸化鉄の吸収スペクトルを詳細に調べた。ランダウリフシッツ運動方程式に従う透磁率の周波数依存性が観測され、透過型配置において、ある試料厚みで吸収量が極大値を取ることが示唆された。さらに、金属置換型イプシロン酸化鉄ナノ微粒子を用いて、ポリビニルアルコールなど種々の樹脂に対する分散を試みた。合成時のシリカマトリックス除去時に分散状態を保ったまま水分散液とし、これに水溶性樹脂を加えることで良好な分散が得られることが分かってきている。これを磁場中で硬化させることにより、完全ではないが磁化容易軸であるa軸の配向が達成されている。
2: おおむね順調に進展している
金属置換型イプシロン酸化鉄ナノ微粒子の配向を当初の予定通り進めており、次年度には自然共鳴現象の観測に適した試料成型を行い、テラヘルツ分光法を用いた吸収特性の観測が進められる見通しである。また、ナノ粒子配向体の吸収特性・偏光特性の観測に先立ち、ランダム配向の試料を用いた研究が進められているほか、自然共鳴周波数の高周波化にもめどが立っており、おおむね順調に進展しているといえる。分散剤の添加やゼータ電位に着目したpH制御を行うなどコロイド化学的手法および、ボールミルなど物理的手段により高いナノ微粒子分散を進め、磁場配向を行う。これを吸収特性・偏光特性に適した形状への成型を行う。成型に当たっては、平成26年度に得られた位相整合による吸収スペクトルの膜厚依存性も考慮する。得られた試料の結晶構造解析、磁気特性測定を行うとともに、結晶配向による透磁率・誘電率、吸収特性・回転特性の影響を調べる。
分散剤の添加やゼータ電位に着目したpH制御を行うなどコロイド化学的手法および、ボールミルなど物理的手段により高いナノ微粒子分散を進め、磁場配向を行う。これを吸収特性・偏光特性に適した形状への成型を行う。成型に当たっては、平成26年度に得られた位相整合による吸収スペクトルの膜厚依存性も考慮する。得られた試料の結晶構造解析、磁気特性測定を行うとともに、テラヘルツ分光等を用いて結晶配向による透磁率・誘電率の周波数依存性、吸収特性・回転特性の影響を調べる。
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DOI: 10.1021/cg5013439
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