研究課題/領域番号 |
26810070
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 亮 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60640795)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オレフィン重合 / 助触媒 / Lewis酸性 |
研究実績の概要 |
含ホウ素アルミノキサン(以下、BMAO)と様々な4族金属錯体を組み合わせて重合挙動を調べることにより、BMAOによる活性化機構について考察した。解析には前年度における検討で最もオレフィン重合触媒に対する活性化能が高かったペンタフルオロフェニルボロン酸とトリメチルアルミニウムから調製したBMAOを用いた。 BMAOはB(C6F5)3などの単一分子からなる助触媒と大きく異なり、ジアルキルチタン錯体だけでなく、単独でチタンジクロリド錯体やジルコニウムジクロリド錯体を活性化してプロピレンの重合を進行させたことから、BMAOにはLewis酸として金属カチオン種を発生させるだけでなく金属ハライドをアルキル化する役割も果たすことが分かった。 また、メチルアルミノキサン(MAO)との組み合わせでリビング重合を進行させる遷移金属錯体とBMAOを組み合わせて重合を行うと、初期活性はMAOを用いた場合と比べて飛躍的に上昇するものの、触媒の失活が観測されリビング性が失われた。このことから、金属カチオン種とBMAOから生成したアルミニウムアニオン種の相互作用はMAOから生成したものよりも弱いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では含ホウ素アルミノキサンの生成機構およびオレフィン重合触媒の活性化機構を平成27,28年度の2年間で解明してゆく予定であったが、本年度はこのうちオレフィン重合触媒の活性化機構について十分な知見を得た。よって研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成28年度は、計画の中で残った課題である含ホウ素アルミノキサンの生成機構に関する考察を行う予定である。アルミノキサンの生成は重縮合反応によって起こるので、有機アルミニウムとボロン酸の仕込み比によってアルミニウムクラスター構造の大きさをある程度制御できると考えている。様々な分子量を持った含ホウ素アルミノキサンを調製し、各種分光学的測定を行うことでクラスター構造の成長に関する知見が得られると考えている。さらにそれぞれのアルミノキサンの重合触媒に対する活性化能も併せて調べることで、より効率的なアルミノキサン調製を行うための知見を得たい。
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