研究課題/領域番号 |
26810073
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
太田 佳宏 神奈川大学, 工学部, 助教 (90625617)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハイパーブランチポリマー / リビングラジカル重合 / 連鎖縮合重合 / グラフトポリマー |
研究実績の概要 |
本研究では、分子量と分子量分布の制御されたハイパーブランチポリアミドを持つマクロモノマーのラジカル重合を検討し、ハイパーブランチポリマーが嵩高く、コンホメーションの変化がほとんどないことによって生長ラジカルの失活を抑制する新規リビングラジカル重合の開発を目的とする。
今年度は、まず、開始剤存在下で AB2 モノマーの連鎖縮合重合を行い、種々分子量 (重合度) の異なる N-メチル基を有するハイパーブランチポリアミドを分子量分布狭く合成したのちに、ハイパーブランチポリマーのフォーカルポイントを官能基変換して、メタクリル酸エステル部位を有するハイパーブランチポリアミドマクロモノマーを得た。次に、ラジカル開始剤に 2,2'-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル) (V-70) を用いて 30 ℃ でハイパーブランチポリアミドマクロモノマーのラジカル重合を行い、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの重合度と生成するグラフトポリマーの分子量分布や重合度の関係について調べた。その結果、ハイパーブランチポリアミドの重合度が 1 のモノマーのラジカル重合では、分子量分布の広い (1.9-2.0) グラフトポリマーが生成したのに対し、ハイパーブランチポリアミドの重合度が 8 程度のマクロモノマーのラジカル重合では、比較的分子量分布の狭い (Mw/Mn = 1.28) グラフトポリマーが生成することを明らかにした。さらに、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの重合度を 15、39、75 程度にした場合もラジカル重合が進行し、いずれも分子量分布が 1.3 以下のグラフトポリマーが得られた。また、ハイパーブランチポリアミドマクロモノマーの重合度が低くなるにつれて、生成するグラフトポリマーの重合度が高くなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々分子量 (重合度) が異なる、N-メチル基を有するハイパーブランチポリアミドマクロモノマーのラジカル重合によって、いずれも比較的分子量分布の狭いグラフトポリマーを得ることができた。これらの結果と次年度に行う予定の分岐度の異なるハイパーブランチポリアミドマクロモノマーのラジカル重合の結果を比較して、マクロモノマーの分子量 (重合度) や構造の最適化を行うことで、新規リビングラジカル重合の開発が達成されると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず AB2 モノマーの N-アルキル基を変えて、分岐度の異なるハイパーブランチポリアミドマクロモノマーを合成し、N-メチル基を有するハイパーブランチポリアミドマクロモノマーと同様の条件でラジカル重合を行い、結果を比較し、マクロモノマーの構造の最適化を行う。また、重合挙動についても調べる。次に、最適化したハイパーブランチポリアミドマクロモノマーのラジカル重合を行った後に、続けてセカンドモノマーを加えることでブロック共重合体が得られるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験器具、機器の部品、試薬の中にキャンペーン価格で購入できたものがあり、予定より安価になったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
経費の節減によって生じた使用残に関しては、次年度の研究費と合わせて必要な試薬や実験器具の購入に使用する。
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