研究実績の概要 |
本研究は、活性酸素によるジヒドロピリミジン誘導体の酸化反応と、これにより生成するピリミジン誘導体の蛍光検出という方法論を利用して新しい活性酸素検出蛍光プローブを開発するものである。平成 27 年度は昨年度に引き続いて新しいジヒドロピリミジン誘導体の合成を中心に研究を行った。 今回、以下の方法によってこれまで知られていない 4,6-無置換 5-アシル-2-フェニルジヒドロピリミジン誘導体の合成することができた。はじめに、フェニルアミジンより調製した1,3-ジアザ-1,3-ブタジエン誘導体とN-メトキシ-N-メチルアミド基(Weinreb アミド基)を有するアルケンとの環化反応によって、5-位に Weinreb アミド基を有するテトラヒドロピリミジン誘導体(1)を合成した。この誘導体(1)および(1)より合成したジヒドロピリミジン誘導体(2)および(2)より導いた窒素原子上が無置換のジヒドロピリミジン誘導体(3)について、有機リチウムおよびグリニャール試薬を求核剤に用いて置換反応を検討したところ、テトラヒドロピリミジン誘導体(1)と有機リチウム試薬を組み合わせた場合に円滑に反応が進行し、4,6-無置換 5-アシル-2-フェニルジヒドロピリミジン誘導体を収率よく得ることができた。有機リチウム試薬のほかに、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いて5-ホルミルジヒドロピリミジン誘導体を合成することができ、Horner-Emmons反応によって共役系の伸長したエステルへ導くことに成功した。また、N-無置換のジヒドロピリミジン誘導体は過マンガンカリウムによって、定量的にピリミジン誘導体に変換することができた。各種の新しいジヒドロピリミジンおよびピリミジン誘導体を合成することができたので、蛍光量子収率を測定してプローブとしての性質を調べている。
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