研究課題/領域番号 |
26810099
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
大迫 隆男 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (90500984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 担持銅錯体 / アルキルアミン系配位子 / 酸化的カップリング / 1,3-ジイン |
研究実績の概要 |
高効率分子変換の達成のみならず、社会的に要請が高まる環境・資源問題の観点から、レアメタル種の使用軽減や反応により得られる副産物を最小限にできる環境調和性の高い遷移金属触媒による酸化反応工程の開発が必要不可欠とされている。そこで本研究課題では、水中フロー酸化反応に適応可能な両親媒性ポリマー担持ユビキタスメタル(鉄・銅)触媒の開発を行い、安全で無毒の環境調和性の高い酸化剤である酸素を用いた、有機溶媒の使用を最小限にできる水中での、これまでに先例のない究極的な環境調和性を兼ね備えた新規ユビキタスメタル触媒によるフロー酸化反応工程の開発を目指し, 研究を展開している。本年度の主な結果として、1)新規ポリスチレン担持アルキルアミン系三座配位子とその銅錯体の合成およびキャラクタリゼーションを行った。得られたポリマー担持銅錯体を、種々の酸化的有機分子変換反応に適応した結果、本担持錯体は、バッジ系反応条件下、末端アルキンの酸化的カップリング反応を効率よく触媒し、目的とする1,3-ジインを最高99%収率で与えることを見出した。このバッジ系での結果を踏まえ、本触媒系のフロー工程化に注力していく予定である。2)新規ポリマー担持ピリジルアミン系およびフェナンスロリン系配位子の調製を実施し、その銅錯体およびナノパーティクルの合成およびキャラクタリゼーションを実施した。現在、本担持錯体触媒を用いて一連の水中フロー酸素酸化反応を展開し、高収率で目的生成物を与える反応条件の検索を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度研究において、一連のポリマー担持アミン系配位子の合成、その銅触媒の調製、酸素を用いた酸化的触媒反応へ適応を実施してきた中、ポリスチレン担持アルキルアミン系三座配位子の銅錯体が末端アルキンの酸化的カップリング反応を効率的に触媒することを見いだすことができた。今後は、この反応系のフロー反応化に注力することで、目標達成が大いに期待される。
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今後の研究の推進方策 |
上述のとおり、ポリスチレン担持アルキルアミン系三座配位子の銅錯体が末端アルキンの酸化的カップリング反応を効率的に触媒することを見いだしている。今後は、本触媒系のフロー工程化に注力していく予定である。また、他の配位子の合成およびその銅や鉄錯体の調製も進め、一連の酸化的有機分子変換反応へと適応することで、フロー化に有望な反応系を見いだす。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度における予算使用は予定どおり完了している。しかし、報告書に示している費目別収支状況は、3月31日時点での支払い額であるため、既に使用している111,824円が次年度使用額として事務手続き上、計上されている。この分の支払いは、27年度4月に執行される。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のとおり、計画どおり予算を執行している。したがって、使用計画変更はない。
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