研究実績の概要 |
高効率分子変換の達成のみならず、社会的に要請が高まる環境・資源問題の観点から、レアメタル種の使用軽減や反応により得られる副産物を最小限にできる環境調和性の高い遷移金属触媒による酸化反応工程の開発が必要不可欠とされている。本研究課題では、水中フロー酸化反応に適応可能な両親媒性ポリマー担持ユビキタスメタル触媒の開発を行い、安全で無毒の環境調和性の高い酸化剤である酸素を用いた、環境調和性を兼ね備えた新規ユビキタスメタル触媒によるフロー酸化反応工程の開発を目指し、研究を実施した。 本課題の主な成果として、(1) ポリスチレン担持アルキルアミン系三座配位子とその銅錯体の新規開発を行った。得られた本ポリマー担持銅錯体を、末端アルキンの酸化的カップリング反応に適用した結果、本反応が効率良く進行し、目的とする1,3-ジインを最高99%収率で与えることを見出した。(2) 新規ポリスチレンーポリエチレングリコールポリマー担持ピリジルアミン系配位子とその銅錯体の開発を行った。本ポリマー担持錯体を用いて、ベンジルハライドの酸素酸化反応を実施したところ、ベンズアルデヒド誘導体を高収率で与えることを見出した。(3)新規ポリスチレンーポリエチレングリコールポリマー担持ポリアミンデンドリマー系の配位子とその銅錯体の開発を行った。本ポリマー担持錯体をベンジルアルコールの酸化反応やアジドアルキン環化付加反応に適用したところ、目的の生成物が高収率で得られることを見出した。
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