現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度はプラズモニック銅ナノ構造/Cu2O複合体の自発形成条件を検討し,その光触媒活性評価の前段階として,色素分子の分解特性について検討を行う計画であった. まずは,昨年度の検討課題であった銅光アンテナを利用したポルフィリン分子の光電流増強現象について,その機構解明のために有限時間差分法を利用したシミュレーション計算を行った.計算結果と実験事実との相関が図れ,以上の研究成果について論文を投稿した(現在,改訂作業中).更に,本年度の計画であった,銅ナノ構造の自然酸化,および加熱による酸化反応を利用して,プラズモニック銅ナノ構造/Cu2O複合体の作製法を確立した.この構造を利用したメチルオレンジの分解反応も確認することができ,光触媒材料としての有用性検証の第一段階を終えることが出来たものと考えられる. また,昨年度,比較検討のために合成したパラジウムナノ粒子の表面プラズモン共鳴が,金や銀ナノ粒子よりも屈折率変化に対する応答感度が高いことを見出した.これについても理論的にその起源を考察することができ,その成果を論文にまとめて投稿したところ,掲載された(ACS Nano, 2015, 9, 1895.).更に応用展開として,異方性パラジウムナノプレートを合成し,その屈折率応答感度もやはり高いことを見出し,これについても論文に掲載された(Optical Materials Express, 2016, 6, 859.).このように,本研究から新たな研究シーズを見出すことにも成功している. 以上のことから,研究の進捗は当初の計画以上に進行していると言える.
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