本研究では、太陽光を利用した水素製造技術の一つである光触媒に着目し、光触媒粒子の形状制御により望まれない副反応を抑制できるか検討した。その結果、反応中に生成するFe(II)の再酸化反応は熱力学的に水の酸化よりも圧倒的に進行しやすく、性能低下の大きな要因の一つであるが、露出結晶面の違いにより、その反応選択性が劇的に変化することを初めて明らにした。このように、露出する結晶面の精密制御が、高性能な光触媒開発の指針となることを実証した。さらに、新規酸化物光触媒の開発や既存材料を高性能化手法開発にも合わせて取り組んだ結果、有望な材料をいくつか見出すことにも成功した。
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