研究課題/領域番号 |
26810112
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50626223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 液晶高分子 / 機能性材料 / ブルー相 |
研究実績の概要 |
本研究は、超分子液晶の自己組織化を活用して、高機能性の高分子分離膜を構築することを目的とする。具体的には、超分子液晶が形成する秩序構造を光重合で固定することにより、サイズがナノレベルで制御され、相互作用部位から構成されるナノ孔を有する高分子薄膜を作製する。 平成27年度は2年目の研究として、特異なキラルナノ規則構造を形成するブルー相を形成する重合性液晶の開発およびブルー相の構造を有するフィルムの作製に取り組んだ。平成26年度に開発した重合性ネマチック液晶について、分子構造の最適化および側鎖の異なる化合物の混合による液晶性の調製を進めることにより、ネマチック相の安定性を向上させた。さらにキラル剤の添加濃度および冷却過程の精密な温度制御により、重合性液晶にブルー相を発現させることに成功した。架橋剤などを添加した条件で得られた重合性ブルー相を光重合することにより、ブルー相の構造を持つ高分子フィルムを作製した。得られたフィルムについて熱物性を調べたところ、重合前はブルー相を示す温度範囲が1K以下の狭い領域であったのに対し、重合後はブルー相の構造を示す温度範囲が高温側に10K以上、低温側に30K以上、広がっていることが分かった。さらにブルー相の構造について、顕微分光装置および共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に調べた。ブルー相においてキュービックの格子が形成され、格子サイズがキラル剤の濃度によって変化する様子が観察できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的な到達点を100%としたとき、現状の達成度は液晶分子の設計・合成については約70%、目的とする機能の発現・構造評価については約50%であると考える。当初目的としたブルー相の形成および高分子化を達成した。今後、超分子化、あるいは超分子液晶との今後用により、機能性膜として利用できる自立膜材料の作製を目指す。 以上、全体としては概ね計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度はブルー相の構造を有する多孔質フィルムの作製に取り組む。開発した重合性液晶に超分子成分を添加する、あるいは超分子液晶にブルー相を形成させ他後に重合することにより、分子認識部位を持つブルー相のフィルムを作製する
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の物品の活用など、研究費の効率的な使用により、小額の差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬など、実験に用いる消耗品の購入に充てる。
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