研究課題
層状ケイ酸塩と非晶質シリカとの複合化によって発現する独自の機能について検討した。まずは層状ケイ酸塩そのものの吸着機能について,水溶液に溶解する有機分子の吸着特性について検討した。ひとつの成果として,分子サイズの小さい有機イオンで層間修飾することで,カフェインが効率良く吸着されることを見いだした。このような吸着機能をもつ層状ケイ酸塩を非晶質シリカと複合化することによって発現する機能について調査した。単分散球状シリカ(0.2~1 μm)および繊維状シリカ(繊維径は数μm)を原料として用いた。これらのシリカを層状ケイ酸塩の原料(尿素およびLi塩やMg塩等)と水溶液中で混合し,水熱処理した。その結果,原料のシリカのサイズに関係なく,シリカ表面から層状ケイ酸塩微結晶が不均一核生成反応により成長することが分かった。また,直径数cm,厚さ数mmのフィルター成型体を構成する繊維状シリカにおいても,成型体を維持したまま複合化できた。シリカ表面上のインターカレーション化学は,平衡論的には,均一核生成で得たものと大きな違いはなく,圧力損失することなく,迅速に陽イオン交換ないしは分子吸着される。 生体親和性を考慮して,Liを含まない層状ケイ酸塩のシリカマイクロ粒子球面上での結晶育成も行った。疎水化した試料は有機溶媒中で膨潤し,従来の無限膨潤と同様の分子徐放挙動を示したにもかかわらず,シリケート層がシリカから剥離しないので,マイクロ粒子として容易に回収できる。皮膚に塗布してもシリケート層が残存する心配がない。光学分割用HPLCカラム充填剤として応用した場合,ある種のエナンチオマーを分離するのに要する時間が,層状ケイ酸塩のみで構成する従来の充填剤と比べ著しく短縮された。これは,シリカ表面上の層状ケイ酸塩が薄く,ラセミ混合物との接触時間を短縮できたためと考えている。
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