レゾルシノール-ホルムアルデヒドのゾル-ゲル系において、両親媒性のブロック共重合体型界面活性剤を用い、自己組織化を利用したミセル鋳型による2d-hexagonal型の規則的配列を有するナノメートル領域の細孔(メソ孔)と、相分離により形成されたマイクロメートル領域の細孔(マクロ孔)を有する、多孔性フェノール樹脂の1段階合成に成功した。その後、得られた多孔体フェノール樹脂を不活性ガス雰囲気下で焼成することによりカーボンモノリスを作製し、さらに炭酸ガス賦活処理を施すことで活性炭モノリスを得た。炭素化および賦活処理の後も、メソ孔およびマクロ孔構造は維持されており、階層的多孔構造を有するカーボンモノリスおよび活性炭モノリスを得ることができた。 得られたカーボンモノリスに溶融した硫黄を含浸させることにより、カーボン/硫黄複合体を作製し、バインダーフリーのリチウム-硫黄二次電池正極としての性能評価を行った。しかし、この方法で得られたカーボン/硫黄複合電極は、容量・サイクル特性ともに、顕著な特性を示さなかった。これは、カーボンモノリスが90%程度の高い気孔率を有するため、硫黄の割合が大きくなりすぎたためであると考えられる。そこで、カーボンモノリスのナトリウムイオン二次電池の負極としての評価を行った。その結果、20 mA g-1で340 mAh g-1という大きな容量が得られ、メソ孔を持たないカーボンモノリスに比べ、良好なレート特性を示すことが分かった。 研究期間全体を通じ、階層的多孔構造を有するカーボンの新たな作製手法の確立・カーボン中へのヘテロ原子の導入手法の開発に成功し、作製したカーボン多孔体を電気二重層キャパシタ電極に用いることで、さまざまな基礎的知見を得ることができた。
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