前年度に引き続き、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて、ペロブスカイト型酸化物薄膜を白金基板上に成長させ、原子レベルでフラットな酸化物だけで構成された電極を作製した。これまでに報告のあったコバルト系およびマンガン系ペロブスカイトを中心に薄膜作製を行い、酸素還元活性および酸素発生活性を調べた。その結果、コバルト系酸化物はほとんど酸素還元活性が認められなかったものの、マンガン系酸化物では測定初期において、還元活性が見られた。また、酸素発生活性に関しては、両系で共に活性を示した。コバルトとマンガンでの酸素還元活性の違いが、なぜ生じるかは未だ明らかでないが、マンガン系ペロブスカイト酸化物に多く見られる酸素欠損の存在が酸素還元に有効に働いている可能性が見出された。 また、ペロブスカイト型酸化物薄膜にカーボン粉末を担持させ、一般的な複合体電極を模擬した触媒状態を作り出し、酸素還元活性を評価した結果、四電子反応が観察され、本研究で見出したペロブスカイト型酸化物とカーボンとの協奏的な酸素還元活性が直接的に支持される結果を得た。
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