研究課題
本研究は,大気中において測定対象物の表面に存在する厚さ数10 nm程度の水膜層によってプローブ先端に自律的に形成されるマイクロ液柱との相互作用力を検出することにより,ナノメートルオーダーの分解能でマイクロ構造物の寸法および形状を高精度に測定可能な高感度マイクロプローブの開発を目的とする.プローブのスタイラスには熱引き加工により先鋭化したガラス毛細管先端に精密ガラス球を接着し、作製した.高感度マイクロプローブはマイクロ先端球付きスタイラスシャフトを非剛性軸方向に振動させ,プローブの振動変化に基づいて水膜層とプローブ先端球との間の接触を検出可能であることから,測定体表の表面に対して非接触状態でのプロービングを実現できる.当該年度は開発した高感度マイクロプローブを用いたマイクロ溝幅の精密測定システムを構築することによって,マイクロ液柱の自律的な形成に基づくプロービングの有効性を検証した.構築した測定システムは広計測範囲を実現するために,長ストローク精密位置決めステージを採用し,運動誤差および各ステージ間のアライメント誤差を厳密に測定し調整することにより,測定誤差の評価と精度保証を行った.またブロックゲージを用いたプローブ先端球直径の校正法を開発し,プローブ先端球の高速・高精度校正がかのうであることを実験的に実証した.また構築した測定システムによりマイクロ溝幅測定を行い,マイクロ溝幅の内部寸法を測定可能であることが確認された.測定結果に基づく不確かさ評価を実施し,その結果,拡張不確かさ100 nm未満を達成できていることが確認された.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Precision Engineering
巻: 43 ページ: 525-529
10.1016/j.precisioneng.2015.09.016
http://www.nano.mech.tohoku.ac.jp/