研究課題/領域番号 |
26820021
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 大輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80576504)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | コンプライアンス / 工作機械 / 位置依存性 / 方向依存性 / 俯瞰的評価 |
研究実績の概要 |
主軸-テーブル間を3次元の任意の方向に加振する装置を設計した.また,本加振装置のために,圧電アクチュエータを応用した小型の1軸加振ユニットを開発した.本ユニットは加振力の測定が可能であるため,通常の圧電アクチュエータと力センサを用いた設計よりも,加振装置を小さくすることができた.1軸加振ユニットの開発に時間を要したために加振装置は現在製作中である.このため,1方向の加振が行えるセットアップを構築し,加振の方向を変更することで,限定的ではあるが3次元の加振を実現した. 構築したコンプライアンスの3次元測定システムの測定結果を俯瞰的に理解できる表示法として,コンプライアンスマップを提案した.コンプライアンスマップはコンプライアンスの方向依存性を評価するためのラジアルプロットによって構成されている.ラジアルプロットでは,極座標プロットを応用し,2次元のグラフにおいて原点からの距離の増大が周波数の増大を表し,偏角が加振方向を表すとした.プロットした点のコンプライアンスの大きさは色によって表す. コンプライアンスマップを用いて,直行3軸の送りをもつ小型の工作機械の動特性評価を行った.全体的な評価では,Z方向(垂直方向)のコンプライアンスが小さいことと,ワークスペース内でのコンプライアンスの位置依存性は小さいことがわかった.また,XY平面でのシェーパ加工を行うと想定した評価では,X軸と60度の角度をなす方向を切削方向とすると,加工面の平面度が向上すると推測できた.さらに,XYZ方向の3つの測定結果から,他の方向(斜めの方向)のコンプライアンスを求めることを試みたが,検証実験の結果と一致するコンプライアンスは得られなかった.これは,加振のために工具と工作物の間に挟んでいる圧電素子がコンプライアンスに影響を与えているためと推測される.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧電アクチュエータを応用した小型の1軸加振ユニットを開発した.また,加振ユニットを用いて主軸-テーブル間を3次元の任意の方向に加振する装置を設計した.1方向の加振が行えるセットアップを用いて3次元の加振を実現した.コンプライアンスの3次元測定システムの測定結果を俯瞰的に理解できる表示法として,コンプライアンスマップを提案した.また,現状においてコンプライアンスマップの構築のためには,直交する3方向だけでなく,他の方向への加振も行うべきであることがわかった.これらの結果は研究計画をおおむね満たしているため.
|
今後の研究の推進方策 |
加振装置を完成させ,3次元の任意の方向のコンプライアンスを測定する.また,研究計画に基づき,異なる機械を比較するための評価指標を提案する.エンドミルを用いた加工実験を行い,加工時の振動振幅が評価指標によって評価できるかを検証する.
|