研究課題/領域番号 |
26820022
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉原 達哉 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90637539)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | インコネル718 / CBN工具 / 高速切削加工 / トライボロジー |
研究実績の概要 |
優れた高温強度,耐食・耐薬品性を有するニッケル基合金インコネル718は,航空宇宙産業や原子力産業などの分野で近年需要が急増している材料であるが,切削加工が極めて困難な“難削材”であり,特に高速切削加工時の工具寿命は極めて短命となる.こういった現状を打破するために,本研究では超耐熱合金の高速切削実現に対して大きな期待が寄せられているCBN工具に対し,“工具-切りくず間のトライボロジー特性に着目し,従来知見とは全く逆に工具表面に微細な三次元周期構造を付与するという新しいコンセプト”を導入することで,インコネル718材の高速・高能率加工において優れた耐凝着性や耐摩耗性,潤滑性を発現する高機能CBN工具の開発を目指している. 本研究ではまず,依然として不明な点が多いインコネル718の加工におけるCBN工具の損傷メカニズムを明確化するため,切削速度を20 m/min~500 m/minの間で変化させて二次元切削加工実験を実施するとともに,加工後の工具にイオンミリング処理を行い,工具断面側からのSEM-EDX分析を行った.その結果,切削速度の違いによってCBN工具の摩耗メカニズムが大きく変化していることを明かにし,さらに低速・高速切削速度域における摩耗進行プロセスの可視化に成功した. さらに,明確化した摩耗のメカニズムに基づいて,CBN工具の表面構造に着目した検討を行った.そして,低速切削速度域ではアンカー効果を発現する微細表面構造を有する切削工具が,高速切削速度域では表面を平滑化処理した切削工具が,それぞれ摩耗抑制に対して有効であることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度に実施を予定していた『二次元切削加工実験によるCBN工具の摩耗メカニズムの解明』および『工具表面品位が工具損傷に及ぼす影響の評価』を計画通り進展できただけでなく,微細な表面構造を有する切削工具の開発にも着手できており,当初の計画以上に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,特に切削速度300 m/min以上の高速切削速度域における工具寿命の更なる延長を目指し,①高速切削加工用の微細表面構造を有する切削工具の開発,②開発工具の性能評価および特性向上,③微細表面構造の最適化,を行う. さらに,当初の研究は予定していなかった,④CBN材料の最適化,にも着手する.これについては研究協力者である民間工具メーカーに工具の試作について協力して頂く体制が既に整っている.
|