研究課題/領域番号 |
26820025
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
玉木 隆幸 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80455154)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / 炭酸ガスレーザー / 微細加工 / マイクロ接合 / ガラス |
研究実績の概要 |
本研究では、超短光パルスマイクロ接合法に材料が線形吸収する波長の連続発振光を組み込み、高速かつ高品位に大面積を接合可能な2波長マイクロ接合システムを開発する。本システムを用いれば、超短光パルス、または、連続発振光の出力制御により、従来の超短光パルスマイクロ接合法における溶融領域の大きさ、深さを、3倍以上にわたり自在に調整することができる。さらに、超短光パルスと連続発振光を同時照射する本加工法は、生産加工分野における要素技術となるため、穴加工、溝加工をはじめとする多くの微細加工分野への応用展開が可能であり、三次元微細構造の形成技術にも適応することができる。 本年度は、フェムト秒レーザーシステムと炭酸ガスレーザーシステムを組み合わせた2波長マイクロ接合システムの光学系を構築した。さらに、構築された2波長マイクロ接合システムによりガラス間のマイクロ加工を行い、各加工パラメーター(超短光パルス、および、炭酸ガスレーザー光の出力、超短光パルスが照射されてから連続発振光が照射されるまでの時間間隔、ステージの走査速度など)における、加工痕の直径を評価した。このとき、フェムト秒レーザー単体の加工と比較し、2波長レーザーマイクロ加工においては、炭酸ガスレーザーの出力が5 W となれば、加工痕直径が2倍となることが示された。 また、炭酸ガスレーザー光照射によるガラスの温度上昇を測定し、温度上昇と加工痕直径との関係を明らかにした。さらに、ガラス間のマイクロ接合を行い、接合の可否、接合強度を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の当初目的であった、(i)2波長マイクロ接合システムの構築、(ii)各種加工パラメーターにおける各加工特性の評価 を実施することができた。(iii)超短光パルスの過渡吸収の計測 に関しては、光学系の構築は完了しているが正確な測定するには至っていない。しかし、加工時の温度上昇と加工痕直径の関係を明らかにし、次年度実施予定の(i)超短光パルス照射直後からの熱伝導に関する過渡現象の解明 に関するシミュレーション方法の習得に取り組むことができた。このため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実施目的であった(iii)超短光パルスの過渡吸収の計測 に関して、正確な光吸収率の測定を実施する。また、今年度見出した加工時の温度上昇と加工痕直径の関係をもとに、(i)超短光パルス照射直後からの熱伝導に関する過渡現象の解明 に関するシミュレーションを行い、加工メカニズムを明らかにする。最終的に、(ii)太陽光パネル前面のガラス接合 を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションソフトを購入予定であったが、次年度に購入することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にシミュレーションソフトを購入する予定である。
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