超短光パルスマイクロ接合法において、高速かつ高品位に大面積を接合可能な生産技術を確立するために、2波長マイクロ接合システムの開発を行った。ここで、超短光パルスマイクロ接合とは超短光パルス(パルス幅がピコ秒以下の光)を用いた接合法である。超短光パルスを透明材料の境界面に集光照射すれば、集光点近傍において非線形吸収現象が発生することにより、集光点近傍の材料のみを溶融し、マイクロ接合を実現することが可能となる。この超短光パルスマイク接合法において、超短光パルスだけではなく、連続発振光(炭酸ガスレーザー)を利用することにより、連続発振光の強度に応じ、加工痕直径(溶融領域)を調整することが可能となり、直径10 mmを超える接合領域を形成することができた。さらに、超短光パルスと連続発振光との相互作用を把握するために、超短光パルスの光吸収を計測した。また、加工時のプラズマ発光の様子を高速度カメラにより観察し、パルス入射後2 ms間にプラズマ発光が生じることがわかった。これらの結果をもとに、超短光パルス照射直後からの熱伝導を有限要素法により解析した。熱伝導解析により、パルス入射から1/125 秒を超えればガラス転移温度を超える領域が存在しなくなることがわかった。
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