研究課題/領域番号 |
26820031
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00533639)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トライボロジー / 摩擦 / 摩耗 / マイクロトライボロジー / その場観察 |
研究実績の概要 |
次世代自動車における摩擦ロスの低減などの課題に対し,低摩擦・低摩耗を特徴とした様々な摩擦材料が開発されている.その摩擦メカニズムの解明のため,ナノの分解能を有する分析・観察装置により多くの研究がなされている.ただし,ナノオーダーの表面現象がcm以上の摩擦面において発生する様子を観察することは難しく,実用的な観点からも広視野かつ高分解能な観察が求められている.それらに関連する基礎研究として本課題では新観察手法を導入して摩擦面のその場観察を行うことを目的としている.具体的には,ミクロンもしくはサブミクロンオーダーの分解能を有する観察をセンチメートルオーダーの視野に対して行うことにより,低摩擦・低摩耗を目的とした摩擦材料の機能発現メカニズムを解明することを主な目的とする.たとえば,微視的な移着膜や摩耗粉などの成長挙動の観察などを行うことが目標である.本年度では,そのための装置(摩擦面その場観察装置)を製作し,その予備試験を行う計画であった.まず,広視野レーザ顕微鏡をベースとした摩擦装置の設計・製作をした.特徴として単波長のレーザ光をレーザ源とした微小レーザスポットを走査させることによりcm以上の視野とミクロンオーダーの分解能による観察が実現可能となった.金属材料を用いた予備試験を行った結果,表面粗さに起因するランダムな接触面画像の高感度な測定が可能となった.また,摩擦中の真実接触面画像と摩擦後の表面観察画像を比較し,摩擦による表面形状の変化を,本手法により確実に捉えられることを確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,主に装置の設計・製作と,その装置による予備実験を目的としていた.当該年度においては,それらを両方とも達成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した計画通り,本課題で製作した新装置を用いて,低摩擦・低摩耗材料などを用いた実用的な実験を行う.推進上の問題が発生した場合の対処法は,主に私見材料が適切でないため(たとえば,材料表面の粗さが大きすぎるなど)と予想される.表面粗さの大きなサンプルを用いたことが原因の場合が最も可能性が高いため,それらを考慮した試験片を現在準備している.現状では,想定していなかった問題等は発生していない.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入計画であった,高速A/Dボード(78万円)と処理用コンピュータ(35万円)は,開発する装置からデータを取得する目的で購入予定であった.当該年度における摩擦試験装置の開発では,研究室に保有の設備を流用してデータ取得の動作確認を行うことができたため,購入を見送ることができた.
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定通り,上記2物品の購入を行う予定である.
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